クラミジアなどの性病になるとHIV感染率が上がる

性器クラミジア感染症は、感染者との性行為などによる感染後7日~21日程度の潜伏期間を経て発症しますが、インフルエンザの様に発症から1日~2日で1,000,000倍に急激に増殖するわけではありません。
クラミジア菌は72時間程度の非常に遅いサイクルでウイルスが増殖するので、発症後も自覚症状が乏しく早期発見及び早期治療が難しく、特に男性に比べて自覚症状の乏しい女性は重症化する事が多い性病です。
性器クラミジア感染症は、性器や尿道、膣などに感染し炎症を引き起こし、痒みによる引っかき傷や潰瘍など炎症患部表面に傷を作ってしまう事で免疫力が著しく低下してしまい、菌やウイルスが侵入しやすい状態が形成されてしまう為、クラミジア菌に比べて感染力は弱いHIVウイルスにも重複感染してしまう事が多いです。一般的にクラミジアに感染していない人に比べてHIVへの感染率は3倍~5倍と言われ、梅毒やB型肝炎などへの重複感染率も数倍に跳ね上がるとされてます。

HIVウイルスは、性器クラミジア感染症などの性病の炎症患部表面に傷が数多くある事で健常時よりも血管に浸透しやすいだけでは無く、血管壁を浸透後も血液中の白血球の1つとされるCD4リンパ球の表面抗原と結ぶつく確率が健常時よりも非常に高く、表面抗原と結ぶついたHIVウイルスはCD4リンパ球を破壊してしまうので免疫力が著しく低下してしまいHIVウイルスへの感染率が非常に高くなってしまいます。
女性は、健常時には腟上皮細胞のグリコーゲンが女性ホルモンのエストロゲンにより活性化された糖化酵素がブドウ糖を分解する事で非病原性常在菌デーデルライン桿菌及び乳酸が継続的に産生され、膣内がpH3.5程度の酸性状態に維持されているので膣へのウイルスや菌の侵入が阻害されていますが、性器クラミジア感染症に感染する事でデーデルライン桿菌の産生が大きく阻害され、膣内の酸性度が低下させられてしまいHIVウイルスへの重複感染率が特に高くなってしまいます。

HIVウイルスに感染しただけでは死に至ることはない

HIVは、ヒト免疫不全ウイルスと呼ばれるレトロウイルスに分類されるウイルスです。HIVは、ウイルス表面の抗原が非常に変異しやすい為多種多様なウイルスの型があるとされ、HIVの特効薬は開発されていないのが現状です。HIVは、免疫機構を司る白血球のCD4リンパ球やTリンパ球を破壊する事で免疫力を徐々に低下させ、一般的にエイズと呼ばれる後天性免疫不全症候群を発症させるウイルスです。しかし、HIVウイルスに感染しただけではすぐに死に至る事は無いとされ、抗HIV薬を継続的に服用する事でエイズの発症を抑制する事が出来ます。
HIVは、2週間~8週間程度の潜伏期間を経て発症した感染初期の急性期には39度~40度の高熱や喉の痛み、筋肉の痛み、リンパの腫れ、頭痛、咳、発疹などの初期症状が感染患者の大半に発現しますが、2週間程度で症状が消失し無症候性キャリア期に突入してしまう事や初期症状がインフルエンザの症状に類似している事が感染の発見を遅らせ、早期治療の障害となっています。その為、体の違和感を感じた時だけで無く、定期的な検査による早期発見及び早期治療が重要視されています。

HIVは、無症候性キャリア期には全くと言って良い程自覚症状がありませんが、CD4陽性リンパ球数を低下させながら着実に体内で増殖をしているので次第に免疫力が低下してしまい、健常時には感染しない様な日和感染症に感染しやすくなり、厚生労働省が定める23のエイズ指標疾患を発症した時点でwエイズ患者と認定されます。
HIVは、発症から無症候性キャリア期を経て2年程度でエイズを発症する感染患者もいましたが、現在では様々な抗HIV薬の開発や多剤併用法ARTによりHIV感染から15年以上経過してもエイズを発症しない感染患者も多くなっています。その反面、エイズの発症による更なる免疫不全症が非ホジキンリンパ腫や進行性多巣性白質脳症、浸潤性子宮ガン、活動性結核などの重複発症を引き起こし、生命維持に不可欠な複数の臓器の機能障害による多臓器不全で死に至ります。