ジスロマックの説明をする医師 ジスロマックはアジスロマイシン水和物を有効成分とする抗生物質で、さまざまな性病の治療や歯科治療後の化膿止めとして利用されます。ジスロマックは抗生剤の中では比較的副作用が少なくて安全性が高いため、幅広く使用されています。
ジスロマックは細胞壁を持たない細菌の感染症に対しても効果があり、グラム陽性菌、グラム陰性菌、嫌気性菌、非定型菌など多くの種類の細菌に対して強い殺菌力を持ちます。
ジスロマックは性病の治療にも用いられることがあり、クラミジアの特効薬とも呼ばれているほどです。日本ではジスロマックは医師の処方がないと購入できません。
ジスロマックは飲み薬(錠剤)として服用しますが、ドライシロップや注射剤でも使用されます。錠剤を服用する場合は、3日間服用すれば1週間程度は薬効が持続するという特徴があります。

ジスロマックの効果と作用機序

性病などの感染症や、歯科・耳鼻科などで治療後の化膿を防ぐためにジスロマックが処方されます。ファイザー製薬のジスロマック(250mg)の値段は1錠あたり246円で、1日1錠を3日間にわたり服用するので合計738円(74点)となります。
3錠で1週間にわたり効果が持続するため、値段が安くて利用しやすいお薬です。
ジスロマックの薬効成分はアジスロマイシンです。アジスロマイシン分子に窒素原子を結合させることによって細菌の中に取り込まれやすく、さらに体外に排出されるまでの期間が長くなります。
このため最初の3日間の服用でも合計で7日間にわたり効果を発揮することができます。

アジスロマイシンの作用機序について

ジスロマックの作用機序ですが、薬を服用すると薬効成分であるアジスロマイシンという物質が病原体(細菌)の中に取り込まれます。
病原体に取り込まれたアジスロマイシンは、細菌が成長する作用を阻止するため、体内で病原体が増殖するのを防いだり殺菌したりすることができます。
一般的に細菌や動植物の細胞は遺伝子であるDNAと、タンパク質などの合成のためにDNAの情報をコピーして取り出すRNAを持っています。
RNAの情報を“翻訳”して、遺伝子に書かれてある情報にしたがって細胞内で必要なタンパク質を合成するのがリボソーム(蛋白合成開始複合体)と呼ばれる“部品”です。人や動植物、細菌の細胞は、それぞれの種類に応じたリボソームを持っています。
細菌の細胞内に取り込まれたアジスロマイシン分子は、リボソームに結合することで細菌が成長するために必要なタンパク質の合成を阻止します。
タンパク質を合成することができなくなった細菌は成長したり増殖することができなくなってしまうため、死滅してしまいます。
ジスロマックのアジスロマイシンは細菌のリボソームを不活性化しますが、人間の細胞に含まれるリボソームとは結合しません。このためジスロマックは副作用が出にくいという特徴があります。
基本的にジスロマックは細菌のタンパク質の合成を阻止する働きがありますが、高濃度のアジスロマイシンは細菌に対して直接殺傷することも可能です。
ジスロマックに含まれるアジスロマイシンは細菌を死滅させる作用を持ちますが、副次的な作用として抗炎症作用もあることが知られています。
アジスロマイシンを取り込んだ細菌は人の免疫細胞である好中球が細菌の周辺に集まったり、武器である活性酸素で攻撃するのを阻止する性質があります。このためジスロマックを服用することで、細菌感染による炎症反応を抑えることもできます。

ペニシリン系抗生物質とジスロマックの比較

ちなみにジスロマックが開発される以前には、ペニシリン系の抗生物質が多く用いられていました。ペニシリン系の抗生物質が細菌を死滅させるメカニズムは、ジスロマックの作用とは異なります。
ペニシリン系の抗生物質は一部の細菌の細胞に存在する「細胞壁」の合成を阻止することで、細菌を死滅させる作用があります。
このためペニシリン系の抗生物質には細胞壁を持たない人間の細胞には悪影響が及びませんが、細胞壁を持つ細菌にしか効果がありません。
ペニシリン系の抗生物質は細胞壁を持つ細菌にのみ殺菌作用を持つため、細胞壁を持たないマイコプラズマ菌などには効果がありませんでした。
これに対してタンパク質の合成そのものを阻止するジスロマックは、マイコプラズマ菌などの細胞壁を持たない細菌に対しても強い殺菌効果があります。このためジスロマックは、さまざまな種類の性病の治療薬としても用いられています。

ジスロマックが効く性病について

ジスロマックが効く性病には、性器クラミジア感染症や淋菌感染症などがあります。このため、尿道炎の治療や予防のために用いられます。ジスロマックは効果が持続する時間が非常に長く、尿道炎の場合は1回服用するだけで完治してしまうほどです。性感染症は複数の種類の細菌に同時に感染しているケースがあります。それでもジスロマックを服用するだけで、数種類もの細菌を一度に全て殺菌してしまうことができます。
ジスロマックは多くの種類の細菌感染症に対して効果があるため、性病の治療薬以外にも歯周病や副鼻腔炎の治療、歯科治療後の感染症を防ぐ目的などででも幅広く用いられています。

ジスロマックの副作用はどんな症状が出る?

ジスロマックは多くの種類の細菌に対して強い殺菌効果をもち、人体に対する副作用が少なくて安全性が高い抗生物質です。それでも全く副作用が存在しない訳ではなく、何らかの副作用が生じる可能性があります。
ジスロマックの副作用で一番多いのが腸の不調や下痢で、服用した人の約3割程度が発症します。一般的に抗生物質は人体に有害な細菌だけでなく、腸内で消化・吸収を助けるための細菌も殺菌してしまうため、消化不良や腹痛などの副作用を起こすことが知られています。
細菌に対する殺傷力が強いジスロマックは、特に副作用として下痢を引き起こしやすいという特徴があります。ただし下痢や腹痛などの副作用が発生する場合でも、大半は軽い症状で済みます。稀に腸の不調以外にも、胃痛や吐き気などが報告されています。

下痢や腹痛以外の副作用について

下痢や腹痛以外の副作用も出る場合があります。ジスロマックを服用した人の中で1%以上の人が、血中の好酸球数増加、肝臓のALT(GPT)増加、白血球数が減少などの副作用が確認されています。
これらはいずれも何らかの自覚症状が出るほどではありませんが、健康診断を受ける際は注意が必要です。
ごく稀ですが、心臓や肝臓、皮膚などに副作用が出ることが知られています。心臓関係の副作用としては動悸や不整脈、頻脈が報告されています。肝臓の副作用としては食欲不振・吐き気・発熱・発疹・かゆみなどの症状が出る可能性があります。
皮膚障害としては皮膚の水ぶくれ・膿・皮がむける・皮膚の熱感や痛み・痒み・唇や口内のただれ・喉の痛み・目の充血などが出る場合があります。

重篤な副作用や薬効が弱まる場合について

慢性的な持病を持たない人であれば、ジスロマックを服用しても副作用が全く出ないか、せいぜい軽い消化器系の不調や腹痛程度で済みます。
もしも循環器系の病気やアレルギー体質の人であれば胃腸障害以外にも重篤な副作用が出る可能性も否定できないので、服用の際には注意が必要です。
ジスロマックの成分と一緒に服用してはいけない薬を服用している場合には、重篤な副作用が出る恐れがあります。
何らかの持病で既に他の薬を服用している場合には、ジスロマックの成分であるアジスロマイシンとの併用が可能なのかどうかを確認する必要があります。医療機関で診察を受ける際は、必ず事前に現在使用中の薬を医師に知らせておくようにしましょう。
副作用ではありませんが、特定の治療薬や食品と一緒に摂取することでジスロマックの薬効が弱まってしまう場合があります。ジスロマックを服用して乳脂肪分を含む食品を食べると、殺菌効果が弱まってしまいます。
このため、治療期間中は乳製品の摂取を控えるようにしましょう。胃酸を中和させるための制酸剤とジスロマックを一緒に服用した場合、ジスロマックの殺菌効果が弱まってしまうので注意が必要です。
細菌の感染症で診察を受けた際に、炎症の症状や副作用である頭痛を緩和させる目的でアスピリン系の鎮痛剤がジスロマックと一緒に処方される場合があります。鎮痛薬を併用する際は、非ステロイド系の頭痛薬などであれば問題ありません。
市販の頭痛薬も一緒に服用することができます。注意点としてポピュラーな頭痛薬であるバファリンには、胃酸を中和させるための制酸剤が含まれているものがあります。
頭痛薬を一緒に服用する場合には、制酸剤が含まれていないタイプの鎮痛薬を使用するようにしましょう。
ジスロマックを含めて、複数の抗生物質を同時に服用することは厳禁です。他の抗生物質を服用しないように注意する必要があります。
他にも移植手術後に免疫抑制剤として使用されるシクロポリンや、心臓や脳の血管障害の際に血液凝固を阻止する目的で使用されるワーファリンとジスロマックを一緒に服用することで、それぞれの治療薬の薬効を異常に高めてしまう恐れがあるので併用することができません。
ジスロマックは正しく使用する限り軽い下痢や腹痛以外の副作用が出ることはほとんどありません。
ただし、一部の治療薬と一緒に服用した場合や特定の食品を食べることでジスロマックの薬効が弱まってしまったり、併用した治療薬の薬効が強く出てしまうなどの副作用が出ることがあるので注意が必要です。

ジスロマックを飲む時はビオフェルミンなどの整腸剤を

ジスロマックを服用すると3割以上の人が薬の副作用としてお腹が緩くなったり、下痢の症状が出る場合があります。一般的に抗生物質を服用すると、薬の副作用として下痢や消化器系の不調が出ることが知られています。
抗生剤の副作用で下痢の症状が出る場合は、2~3日程度の短期間で回復します。
抗生剤を服用した場合に下痢の症状が出るメカニズムですが、抗生物質は体内の細菌を殺傷する作用があります。一般的に病気を引き起こす細菌を殺傷する目的で抗生物質が使用しますが、人間の体の中には人体に有益な細菌も存在します。
腸の中にも大腸菌や乳酸菌などの細菌が存在しており、消化・吸収を助ける働きをしています。腸内細菌は他にも腸内に侵入した有害な細菌を死滅させることで健康に寄与します。
感染症の治療のために抗生剤を服用すると乳酸菌などの腸内の有用な細菌も一緒に殺菌してしまうため、腸内の細菌バランスが崩れてしまいます。
腸内の細菌バランスが崩れることで消化・吸収の能力が低下したり、有害な細菌が腸内で増殖する場合があります。このため、抗生剤を服用するとお腹が緩くなったり、下痢などの副作用が出る可能性が非常に高くなります。
ジスロマックを飲む時は下痢などの副作用を防止する目的で、腸内の細菌バランスを整えるための整腸剤を一緒に服用することができます。内科で抗生剤が処方される際は、一緒に整腸剤も処方される場合もあります。
もしも下痢などの副作用が心配であれば、診察を受ける際に医師に伝えておくと一緒に整腸剤を処方してもらえます。
歯科や耳鼻科などでジスロマックが処方される際は、整腸剤が一緒に処方されないケースもあります。このような場合は、ビオフェルミンなどの市販の整腸剤を一緒に服用すると良いでしょう。
ジスロマックと市販の整腸剤を一緒に服用しても、副作用の心配はありません。
医療機関で薬を処方してもらうと薬自体の値段に加えて調剤料や処方料が加算されてしまいます。そのため、市販薬の整腸剤を購入した方が値段が安くなります。
基本的に処方薬も市販薬も整腸剤の効果は同じなので、費用を抑えたいのであれば値段の安い市販薬を利用することができます。

ジスロマックの服用方法

ジスロマックは1回1錠を3日間服用します。服用するタイミングは特に定められていません。これに対して整腸剤を服用する場合は食後に服用します。
抗生物質によって腸内の細菌が殺菌されてしまうため、ジスロマックを服用した後の食後に整腸剤を服用すると効果的です。基本的にジスロマックを服用する期間は最初の3日間だけですが、殺菌効果は1週間程度持続します。
このため下痢などの副作用を防ぐ目的で整腸剤を服用する場合には、必要に応じて1週間程度飲み続けると良いでしょう。
中には整腸剤の代わりにヨーグルトなどの乳酸菌系の食品を利用する人もいます。ジスロマックと乳脂肪分を一緒に摂取すると薬効が弱まってしまうので、乳製品系の食品ではなくて整腸剤を使用するようにしましょう。
ジスロマックは服用した後も4日程度効果が持続することが期待されます。そのため、ジスロマックを服用した後も4日間は乳脂肪分を含むような食品を控えるようにします。
乳酸菌系の健康食品の他にも、ケーキやチーズ、洋菓子を食べないように気を付けましょう。
ちなみに整腸剤以外にも下痢止めなどの胃腸薬がありますが、これらの薬は避けた方が良いでしょう。抗生剤を服用する場合の副作用は下痢そのものではなく、人体に有益な細菌が殺菌されてしまうことが問題だからです。
抗生物質を服用することで生じる副作用を根本的に解決するためには、腸内の細菌のバランスを整える必要があります。
ジスロマックは強い殺菌力を持つので性病やその他の感染症に対して有効な薬です。殺菌力が強いゆえに腸内の有益な細菌も一緒に殺菌してしまうことで下痢の副作用が出やすいという特徴もあるので、整腸剤を併用するようにしましょう。

よく読まれている記事